「オンライン面接」のメリデリは表裏一体の関係にあるようです。
設定が容易で、いつでも、どこでも、沢山の学生と面接できるし、記録も残せる。
その半面、難しいのが、学生とのノンバーバル(非言語)コミュニケーション。
薄~いノンバーバル(非言語)情報。
比例して企業は学生を、薄~くしか把握できない。
だからすれ違いがしばしば。
ノンバーバル(非言語)コミュニケーションを封じされるということだとすると、逆に企業側のノンバーバル(非言語)情報も学生に届かない。
だとすると、企業がこれだっ!と思う学生を熱心に口説く、入社意欲を醸成する、なんてことも難しそうですよね。
こういう「オンライン面接」のデメリットを補うために、企業や人事担当が工夫するべき打ち手とはどんなことでしょう。
某大手メーカーの人事部に採用担当マネージャーとして勤務している私の友人Wさんは、いわゆる「アイスブレイク」に手間をかけているといいます。
具体的には、面接の前、接続確認をした後に少し時間をとり、人事担当が雑談して意図して少し変わった質問をする。
そこでの学生の表情や話し方の癖を見るようにしているらしい。
そして、「オンライン面接」にあたっては、雰囲気などのノンバーバル(非言語)情報が得られないことを前提として、じっくりと時間をかけて面接することはもちろん、面接当日以外の、日程調整をはじめとしたやり取りを、あえて電話等アナログなやり方を用いて密に行い、その対応も参考情報としているらしい。
また今後は学生に“事前アンケート”を求め、面接官が個人の興味に基づいて、漫然とエントリーシートを読みながら面接するのではなく、一定の質問に対すして学生に回答を求め、その解答と所作を横串で比較しながら選考評価につなげていくような取り組みも始めているといっていました。
こうした企業側の「オンライン面接」改善への取り組みは、企業、学生相互にとって理がある話です。
学生からしたって、企業や、企業の面接官、つまりゆくゆく自分が働くかもしれない職場の先輩社員の雰囲気などのノンバーバル(非言語)情報が得られないこと、は死活問題です。
昨年、今年と、コロナ禍による緊急事態宣言の発出によって「対面面接」が、やむなく「オンライン面接」に切り替わっていきました。
でも、新卒採用、その選考の「オンライン化」を歓迎する要素は少なくありません。
企業にとっても多くの学生の参加があり、設定が容易というメリットがあり、特に地方(だけではなく海外の)学生にとっては福音でもあるわけです。
そもそも企業の業務のオンライン化はこれまで以上に進んでおり、これは不可逆な流れでしょう。
ならば、コロナ禍の状況に限らず、2023年卒以降の採用でも、オンライン面接は定着していくはず。
企業と学生、互いが「オンライン」で結ばれる縁の功罪を理解して、オンラインならではの果実を得ることが出来る世の中になることを期待したいと思います。
(株)アズワン_小林