突然ですがみなさん、「再建築不可物件」という不動産を、知っていますか?
「再建築不可物件」とは、土地の上に建物が現存する不動産で、現在建てられている建物を解体して更地にしても、新たに建物を建てられない土地(不動産)のことです。
ちなみに「再建築不可物件」は、都市計画法で定められている「都市計画区域」と「準都市計画区域」にのみ存在します。
この都市計画区域、あるいは準都市計画区域で建物を建てる場合、建築基準法で定められた”接道義務”を満たさなければなりません。
“接道義務”とは、御存知、
・幅員4m以上である建築基準法上の道路に
・建物の敷地が2m以上接している
こと。
それを満たさなくてはいけない義務を“接道義務”といいます。
典型的な解説図はこんな感じです。
幅員4ⅿ、つまり普通車以上の車同士のすれ違いができないけど、車両が通行できる程度の幅のある道路に、最低限=2mは接してなきゃダメよ、ということ。
この“接道義務”を満たしていないと、新たに建物が建てられないため、該当する敷地は「再建築不可物件」となります。
つまり下記のようなケースが、「再建築不可物件」の例です。
・建物の敷地が建築基準法上の道路と全く接していない
・建物の敷地が建築基準法上の道路と接しているが、接している幅が2m未満である
・建物の敷地が幅員4m未満の道路や、私道とのみ接している
そもそも「再建築不可物件」は、何故存在するのか?
理由は、「再建築不可物件」とされる不動産(土地+建物)が誕生した時代と、不動産の法律が誕生した時代のズレが関係しています。
建築基準法は1950年(昭和25年)に制定された法律であり、さらに都市計画法は1968年(昭和43年)に制定されました。
そのため、1950年以前に区分された土地や、そこに建てられた建物(築70余年以上になる建物)では、“接道義務”を満たしていないケースが多く存在します。
総務省によれば、現在、東京23区内だけで約23万戸(全体の5%)もの「再建築不可物件」があるといいます。
さらに全国における「再建築不可物件」の物件数は、全体の約6.7%、約15件に1件は「再建築不可物件」だとか。
さて、現在コロナ禍でのリモートワークニーズの広がりで、とくに都市部の子どものいる共働き世帯で、“戸建て”志向が間違いなく高まっています。
とはいえ、都市部での新築戸建て購入は、中間層、若年層夫婦にとっては今もハードルが高い。
そんな中、従来の空き家問題への注目も加わって、最近ちょっと興味深いムーブメントとして、この「再建築不可物件」の購入、投資について、弊社でもちらちら相談を賜る機会があります。
まぁ、金融機関は、スルガ銀行の不正融資事件以降、融資の審査基準の厳格化を進めていて、以前のように簡単には審査が通りません。
その流れもあるのでしょう、一般のサラリーマンにとっては、いかに手持ちの現金を活かすかが不動産投資のポイントになってきます。
そういう意味でも、わずか数百万円からはじめられる「再建築不可物件」への投資にも、目がいくのでしょう。
こんな本も本屋さんに並んでおりますし。
とはいえ、建て替えることもできない老朽化した家屋=「再建築不可物件」。
到底資産価値などないようにも思えるが、、、なぜ購入、あるいは投資不動産になりうるのか?
少し考えてみたいと思います。
株式会社アズワン_小林