前回の記事で、「建築条件付き土地」の広告表示の一例を紹介しました。
この広告表示のように、東京都住宅政策本部では、「建築条件付き土地」の売買契約の際には、次の3つの条項が契約関係の書類に記載されていることを確認するよう、注意を促しています。
1. 一定の期間内に建物の建築工事請負契約を締結することを条件とすること
2. 前述1.の請負契約を締結しなかったときは、又は建築をしないことが確定したときは本売買契約は解除になること
3. 前述2.により本売買契約が解除となったときは、売主はすでに受領している手付金等の金員全額を買主に返還すること及び売主は本契約の解除を理由として買主に損害賠償又は違約金の請求はできないこと
つまり、
・一定期間内に指定された施工会社と建築工事請負契約を結ぶことが条件なので(1.の条項)
・その間に協議が整わずに建築工事請負契約に至らなかった場合は、土地の売買契約自体が解除され(2.の条項)
・土地の売買契約時に手付金として売り主に支払ったお金は買い主に返され、違約金などの金額は請求されない(3.の条項)
ということを、土地の売買契約時に書面に明記されているかどうかを確認する必要があるということです。
ただ契約書の問題とは別に、取引上のトラブルは起こりえます。
不動産広告で「自由プラン」と記載されているのに、施工会社が参考プランの変更に応じない、とか、土地の売買契約の際に同時に参考プランによる「建築工事請負契約」を”後で変更できますので一応、、、”などと一筆してしまって、ほぼ参考プランのまま家を建てることになったといったトラブルです。
「建築工事請負契約」を結んでしまうと、土地の売買契約の解除をするには手付金を放棄したり、場合によっては違約金などを支払わざるをえなくなったりするケースもちらほら聞きます。
現実には、特に“この場所!”と決めた土地の人気が高ければ、「建築工事請負契約」やそれに準じる何らかの書類を、どこかのタイミング先んじてを交わすこともあるっちゃある、でしょう。
それでも必要以上に売り主の言いなりになることなく、この「建築条件付き土地」特有のルール、大原則ををしっかり理解して、取引を進めてほしいと思います。
ルールを守っている事業者のほうが多いですが、残念ながら、なかには、消費者に専門知識が乏しいことにつけこむ事業者もいるので。。。
少し脅かしすぎですかね。汗
一方「建築条件付き土地」には、当然メリットもあります。
例えば、土地の売り主が施工会社を兼ねていたり、グループ会社であったりすることが多く、土地売買+建築工事で収支を計算しているため、建築条件のない場合よりも、抑えたレベルで土地の価格を設定しているケースが多いのも事実です。
是非、同じエリアで土地だけ販売している物件を見つけて、価格を比較してみてください。
また、建売一戸建てと比べれば、圧倒的にプランに自由度があります。
ちなみに私の自宅は、プロとして好き勝手やらせていただきましたので、参考プランの5%も原形をとどめておりません。(地元業者のC様は大変だったと思います笑)
ほかにも、施工会社を選ぶ時間を節約でき、土地購入から設計・施工、引き渡しまでが一貫して行われるなど、スピード&ワンストップであるといった点をメリットに感じる人もいるでしょう。
そもそも参考プランに惚れることが出来た場合や、それほど住宅のプランに強いこだわりのなくマイナーチェンジで構わない方、引き渡しまでのスピードを重視する人には、向いている選択肢だと思います。
「建築条件付き土地」は、“土地の売買”と”住宅の建築工事”との2段階の調整、契約が必要な特有の不動産取引です。
最終的に手に入るのが新築の一戸建てとなりますが、「注文住宅」とも「分譲の建売住宅」とも異なりますので、ルールをよく理解したうえで購入を検討しましょう。
特に、マンションに比べて一戸建の場合、手に入れた新築住宅に満足できるか否かは、取得した建物そのものは勿論のこと、その取得プロセスに対する納得感も影響が大きいとおもいます。
ということで、「建築条件付き建物」の検討を進めている方で、不安を抱えていらっしゃる方は、是非asoneのプライベートコンシェルジェをご活用ください!
(株)アズワン_小林