「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」、いわゆる「改正空家特措法」が参院本会議で可決、成立しました。
以下に簡単に改正のポイントを纏めてみましたので、ご参考に。
改正ポイント(1):管理不全空き家の新設
状態は悪くないが1年程度住んで(使われて)いない「空き家」と、状態が悪く周囲に悪影響を及ぼすような「特定空き家」の間の空き家として、「管理不全空き家」というカテゴリーを設けます。
これにより「特定空き家」になるまで対応しにくかった、行政による改善の指導・勧告が行えるようになります。
改正ポイント(2):管理不全空き家は固定資産税の減免解除
勧告を受けた「管理不全空き家」は、固定生産税が1/6に減額される住宅用地特例が解除されます。
相続人がその土地を保有しながら減税措置を受け続けるために、家をそのまま放置するようなケースにおいて、今回の改正で、住宅の状態が悪化する前の段階から税優遇を取り上げられる措置を受けることになります。
改正ポイント(3):所有者の責務強化
「空き家」の管理について、現行法の「適切な管理」に対する努力義務に加えて、「国・自治体の施策に協力する」という努力義務が追加されました。
空き家に係る国や地方自治体の施策に対して、「聞く耳をもたない」では済まなくなり、「適切に対応する」必要性が定められたということです。
改正ポイント(4):空き家の活用拡大
市区町村が、中心市街地や地域の再生拠点、観光振興地区などの「空き家等活用促進地域」の指定権限を持つことになり、また、同地域の指定や空き家等活用促進指針を定め、用途変更や建て替えなどを促進できるように、接道規制や用途規制の合理化を図ることができるようになります。
加えて、市区町村長は、区域内の空き家等所有者らに対して、指針に沿った活用を要請することができるようになります。
さらに空き家等の管理・活用に取り組むNPOや社団法人などの団体を、市区町村長は「空き家等管理活用支援法人」に指定できるようになります。
以上、言い方を変えれば、空き家活用に関して「具体的な地方自治体への権限移譲」が図られたことになります。
改正ポイント(5):特定空き家の除却などの円滑化
市区町村長には「特定空き家」に関する報告徴収権が与えられ、資料の提出などを求めることができ、勧告等が円滑に行われるようになります。
また、除却などの代執行が円滑に進むように、
①命令等の事前手続を経る時間がない緊急時の代執行制度を創設
②所有者不明時の代執行、緊急代執行の費用は、確定判決なしで徴収可能
という制度が整いました。
以上、やはりポイントは、管理状態が劣悪と判断される「特定空き家」に加え、「管理不全空き家」という概念が新設されたことですね。
管理不全空き家と判断された場合も、特定空き家同様に、その後の管理を適切に対処しないと、固定資産税が最大6倍になってしまう。
現在の試算では、全国の50万戸近い空き家が、この管理不全空き家に該当すると予想されていますので、家族のみならず親族が所有している不動産まで広げて考えると、決して対岸の火事ではないといえるでしょうね。
株式会社アズワン_小林