コミュニケーションとは、「言葉のキャッチボール」に例えられるように、「双方向」であるということが大原則です。
つまり、 片方の一方的な発信ではなく、もう一方、つまり受け手との往復を前提に成立する。
行って、返って、でワンセットということ。

これを違う角度から捉えてみます。
コミュニケーションにおいて、”発信される言葉の意味”は、発話者ではなく、キャッチする側が決定する主導権をもっている、ということ。
つまり、発信者の意図によらず、 同じ言葉でも、受け手の理解・文脈・経験等により、その言葉の意味、ひいてはコミュニケーション自体が変容する。
故に、しばしば発信者は、大切な言葉になる程、受け手の解釈する力、その可能性を考慮する必要があります。
なにせ言葉の受け手の「受け止める力」が欠如すると、当然、その受け手側のリターンが芯を食わないから。
「、、、ってことじゃないんだけどな。」
という、あれです。

さて。
コミュニケーションにおける言葉を「受け止める力」、これを要素分解してみます。
先ずは、相手の言葉の文意を正しく理解する力。
前提となる傾聴力(=よく聞く)。
さらには、相手への共感力。
そんなとこでしょうか。
もう一つ、私は言葉を「受け止める力」には、というか「受け止める力」を発揮するために大切な要件があると考えています。
それは、言葉受け取るシチュエーションが「対面」であるかどうか、ということ。
対面コミュニケーション、対面のつながりの上に、そのコミュニケーションがなされているか、という点です。

対面で、言葉を受け取る、と同時に伺う、表情、ジェスチャー、姿勢、視線。
話す声のトーン、大きさ、スピード。
相手との距離、相手の身だしなみ、髪型、アクセサリー、化粧。
そもそも対面する場所がどんな空間なのか、明るさ、温度、匂い。
いわゆる「ノンバーバルコミュニケーション」ともいわれる要素、非言語情報ですよね。
私は、コミュニケーションにおいて、これらがあるのとないのとでは、言葉を「受け止める力」の発揮に、大きな違いをもたらすと考えています。
つまり対面であることが、意図の推定に大きく作用し、誤解の予防や、ニュアンスの共有を可能にするのではないかと。

SNSでのコミュニケーションが増え、テキスト中心の関わりが主流となった現代のコミュニケーションにおいては、昔よりも非言語情報が欠落しています。
非言語情報の補助がない、その結果、本来はコミュニケーションの一部に過ぎない言葉が、過度な力を持ちやすい。
時にニュアンス伝達が難しくなり、誤解や対立が生じやすくなる可能性があります。
故に重要さを増す、私たち自身の、言葉を「受け止める力」。
ここから先は、受信力>発信力、な時代なのかもしれません。
なので、「対面」こそ。
私が”あなたに会って話がしたい”理由、その意図とこだわりはここにあります。

株式会社アズワン_小林大祐