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住宅ローン、「繰り上げ返済」という幻想

住宅ローン、「繰り上げ返済」という幻想

前回記事の続きでもう一つ。

ボーナスは、住宅ローン返済には使いません。

返済額は収入の20%以下、無理もしていません。

一方、年月がたつにつれて順調に給料が上がったので、何年か経つと、手元にウン百万円単位で「余剰資金」が生まれました。

いいじゃないですか。

で、ここで、ひとつ分岐点です。

1.その「余剰資金」を、所謂住宅ローンの“繰り上げ返済”にあて、返済期間短縮、または返済額を減らす。

2.住宅ローンはそのまま、「余剰資金」は貯金にまわす。

要するに、繰り上げ返済問題。

迷いますよね。苦笑

繰り上げ返済をするかどうかは、まさに自分のライフプランによります。

子どもの入学や卒業、自身の独立・定年、親の介護諸々、、、いつ、どのくらいのお金が必要か?わかります。

必要なお金は、必要な時点までに何かしら、手元に置いておく手立てを考えなければいけません。

ローン支払いを早く終わらせるのは、それだけ自身の負担を消すことが出来ますし、それは美徳のようにさえ思えます。

ただ、無計画は無益。

返済第一の一心で、むやみに繰り上げ返済をしてしまっては損をします。

無理を超えて、無理に手元資金で住宅ローンを返しすぎ、例えば子どもの大学資金等、必要な「まとまったお金」が足りなくなったケースをしばしば耳にします。

なにせ、住宅ローンは金利の安い有利なローンなのです。

お金が足りなくなって、住宅ローンより金利の高い、学資ローンや教育ローンでお金を借りれば、かなりの損をしてしまいます。

それに、地震、突風、豪雨、洪水などの想定外の被災、響う名闘病や介護、そう、近年でいえば新型コロナウイルス感染症のようなハプニングが発生する恐れもあります。

そんな時に、ある程度まとまった資金を持っていれば、一応は安心でしょう。

勿論ライフプランとにらめっこしたうえで、大丈夫と確信できれば、返済にまわしてもいいでしょう。

家計のバランスシートでいえば、支払い総額が減り、純資産が大きくなるメリットは、それはそれであります。

ただし、非常に安い金利でお金を調達できているのですから、無理をして、無気になって、繰り上げ返済をする必要はない、と私は考えています。

そして、住宅ローンでは、「団体信用生命保険」(団信)にも加入していることを忘れてはなりません。

契約者が亡くなるか、高度障害状態になるかしたとき、残りの住宅ローンがチャラになるこの保険は、住宅ローンの金利の中から保険料が払われています。

 このメリットを享受せずに繰り上げ返済をするのは、じつにもったいないことだと、個人的には思います。

そもそも住宅ローンの金利は、せいぜい1%程度。

「余剰資金」が生まれたら、返済にまわすのではなく、投資にまわすほうがかしこいかもしれませんね。

たとえば、投資信託を勉強して、住宅ローン金利以上稼ぐ。

住宅ローン金利が1%、仮に5-6%の運用でまわすことができれば、差し引き4-5%の運用益を得ることが出来ます。

「余剰資金」は新しい資産を運んでくれる原資になるわけですから、わざわざ金利1%にすぎない住宅ローンを返すのはもったいないといえます。

また将来、アパート経営をしたいと考えている人は、繰り上げ返済などせずに、できるだけ手元に現金を残しておいたほうがいい。

アパートローンを借りるときは、自己資金がいくらあるかが、審査や融資額をどれくらい引っ張ってこれるかにあたって、圧倒的に重要になるからです。

これは、私のように起業=会社を設立する、個人事業主として副業を始める場合も、同じことですね。

私も手元資金がなければ、独立創業することは、数倍、いや10倍困難だったと思います。

要するに、せっかく自身の賢い住宅取得戦略によって生まれた、貴重な「余剰資金」です。

無理に、スーパー低金利で調達できている(それも団信付きの)住宅ローンの繰り上げ資金返済に使ってしまうことはない。

気持ちよく返済すれば「借金が無い日々」にはなりますが、代わりに待っているのは「現金がない日々」なのですから。

まぁ、どうしても借金は嫌!な人、そして「余剰資金」が返済額をはるかに上回るような額である場合は、繰り上げ返済をすればいいと思います。

 いずれにしても大前提となるのは、あくまでライフプラン。

自分のライフプランをつくって、お金の使い道、その“つもり”を長期的に俯瞰して、繰り上げ返済についても検討してみてください。

(株)アズワン 小林