新型コロナウィルス蔓延による緊急事態宣言下で、一気に普及した在宅勤務。
これからの働きかたの新常態として企業も積極的な取り組みを見せています。
在宅勤務が普及した当時から、「部下たちは在宅でしっかり仕事ができているだろうか?」と心配する管理職の方の声をよく耳にしてきました。
この管理職の心配、伺ってみると、その多くの心配は、“サボりの観点”から。
つまり「自宅では怠けてしまいやすいのでは?」というものですね。
たしかに、自宅で気がゆるむ人もゼロではないでしょう。
しかし、私の個人的な見解は、逆。
「部下たちは在宅でしっかり仕事ができているだろうか?」=「意外にもオーバーワークになりやすいのでは?」
こちらのほうを心配するべきだと思います。
私が、在宅勤務の懸念を、サボり<オーバーワークと考える理由は二つあります。
ひとつは、スキマ時間がないこと。
オフィスでは職場内外での移動、雑談などで手を休めている時間など、実は仕事をしていない時間が、おそらく従業者自身が思っているよりもあります。
一方、在宅勤務ではそうしたスキマ時間がありません。
勤務状況を証するために、常にネットでつながっていることも、小さなスキマ時間を奪っていきます。
私もオンライン会議を立て続けに入れてしまうと、ブレイクタイムや、極端に言えばトイレにも行かずに何時間も続けて仕事をしているなんて状況が、簡単に生まれます。
もちろん、A社、B社、C社、と移動がないのは楽チン。
だけど、クライアントとの打ち合わせが連続すると、それはそれでなかなかハードな一日となります。
もうひとつが、いわゆる「パーキンソンの法則(第一の法則)」というやつです。
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「パーキンソンの法則」
イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンが、イギリスの行政組織を研究する中で導き出し、著書「パーキンソンの法則:進歩の追求」で提唱した法則。
■第一法則:仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。(たとえば、納期まで余裕があっても締切直前までかかる。)
■第二法則:支出の額は、収入の額に達するまで膨張する。(たとえば、年収が上がっても貯金が増えない。)
この第一法則にある「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」という法則。
これはそのまま在宅勤務にも当てはまります。
在宅勤務は通勤がなく、プライベートも含めたその日の「与えられた時間」は長い。
長いがゆえに、その時間をすべて満たすまで、つまりプライベートの時間まで仕事が膨張、浸食してしまう、懸念があるわけです。
要するに、在宅勤務では、怠けてしまうにせよ、逆にオーバーワークになるにせよ、労働の生産性が低下する危険を多くはらんでいる、ということ。
在宅勤務の労働生産性低下の危険。
怠ける、よりもオーバーワークする、リスクの回避。
本シリーズでは、私なりのコツを紹介してみます。
株式会社アズワン_小林