日曜日。
義理の父の命日でしたので、妻と越谷まで墓参りに。
快晴。
もう24年かぁ。
我が家のお墓もいかなきゃ。汗
うちは長男長女の夫婦ですから、墓守もそれなり。
ちなみに、これからお墓を建てようかなと考えているかたに(いるのか?)、不動産屋的なお墓の知識を少々。
◆お墓の土地は誰のもの?
そもそもお墓を建てるには、土地が必要になりますが、お墓を建てる土地は不動産の売買のように土地そのものを買うということできません。
お墓を建てる土地は、墓地や霊園、寺院の所有者からその土地の使用権を取得して、お墓を建てているということになるのです。
ですので、お墓の土地は、お墓を建てた人のものではなく、墓地や霊園、寺院を所有している人のものになるのです。
◆永代使用権
永代使用権とは、お墓を建てる土地を家の代が続く限り使用する権利のこと。
ただ、永代使用権を取得したからといって、その土地の所有権を取得したことにはなりません。
また、お墓の永代使用権は承継することができるので、親から子へと代々相続することができます。
永代使用権は祭祀財産にあたります。祭祀財産には、お墓のほか仏具、仏壇、位牌、系譜など祭祀に関わるものが含まれます。
祭祀財産は一般的な相続財産とは区別され、相続税が発生しません。
◆永代使用料
永代使用料とは、永代使用権取得に際して支払うお金のこと。
永代使用料は、お墓を建てる土地の使用権を取得したとき、最初にまとめて払います。
永代使用料は区画や立地、霊園の種類によって相場に幅があります。
永代使用料の相場は一概には言えません。
相場感を知るためには、お墓の購入を検討しているエリアの墓地をいくつか調べてみると良いでしょう。
◆墓地の譲渡・転貸し・売買
墓地の譲渡は原則できません。
これまでも説明した通り、墓地の永代使用権とは墓地自体の所有権ではなく、使用権にすぎないためです。
転貸しや売却も同様にできません。
(ごくまれに墓地の管理者側で永代使用権の売却を認めているところや、沖縄などでは、墓地自体を利用者や石材店が所有しており、売買することも珍しくありません。)
◆お墓を継承するのは誰?
お墓を含む祭祀財産は、代々家の祭祀を主宰する人に引き継がれていきます。
祭祀承継者、つまりお墓の永代使用権を引き継いだ人は、お墓のメンテナンスやお墓の年間管理料など金銭的な負担も含めた管理の責任と権利も引き継ぐことになります。
祭祀財産を承継する祭祀主宰者は、口頭でも遺言書でも指名することができ、基本的には一人しか指名できません。
現在の祭祀主催者の指名が無ければ、承継者を誰にするかは慣習に従います。
慣習も明らかでない場合は、家庭裁判所が承継者を決定します。
※このことは、民法第897で次のように規定されています。
第897条
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
◆お墓を承継したときの税金
お墓を含む祭祀財産は一般的な相続財産とは区別され、相続税はかかりません。
また、祭祀財産でもあるお墓を相続しても、行政上の手続きはなく、登記などの必要もありません。
ただし、お墓を承継した際は、墓地の管理者に申し出て手続きをする必要があります。
墓地を購入した時に発行される「永代使用許可書(墓地使用承諾書、使用権利書)」や旧名義人の戸籍謄本などの書類を用意して、手続きしましょう。
お墓を承継する人がいないとき、永代使用権を放棄するときには、墓じまいをする必要がありますが、墓じまいは、お墓の所有者、つまりお墓を承継した人がすることになります。
墓じまいには、さまざまな手続きや作業、高額な費用がかかりますが、これらの費用や手続きなどは、原則、自己負担になります。
◆墓じまいの流れ
墓じまいの大まかな流れは以下になります。
①新しいお墓、納骨堂、樹木葬、散骨などの準備
②墓地がある自治体の役所とお墓の管理者に届出
※新しいお墓や納骨堂に移す場合は改葬になるので、「改葬許可証」、「受入証明」、「埋葬証明」などの書類が必要
※散骨、自宅供養をする場合は改葬許可証は必要ないのですが、自宅供養などの場合はいずれまたどこかに納骨する場合があるので、改葬許可は取った方が無難です。
③閉眼供養
お墓に僧侶を招いて、閉眼供養を行い、遺骨を取り出します
④お墓の解体、撤去
石材店などにお墓の解体、撤去を依頼して、お墓があった場所を更地にします
⑤新しいお墓、納骨堂への納骨、樹木葬、散骨
◆永代使用権が消滅する場合
永代使用権とは、「権利者の家の代が続く限り墓所を使用できる権利」のことですから、お墓の跡継者がいないときは、永代使用権は消滅します。
これまで、お墓を承継する人はの家の長男が一般的でしたが、近年では少子化などの理由により、長男以外の家族が受け継ぐことも少なくありません。
ただ、墓苑、霊園によっては、承継するする人は「親族」に限るという規約があったり、寺院によっては承継者が女性の場合は拒否するということもあります。
女性が受け継いだ場合、結婚で苗字が変わる可能性が高く、お墓を守り続けることが難しいと考えられることがあるようです。
このように、お墓の承継者についても、墓地や霊園、寺院によってさまざまな条件があるので、事前にお墓の管理者に確認することも大切です。
as one_小林