物事を批評することが果たす役割は大きいものです。
その効果は、問題点の指摘や、新たな視点の提示だけにとどまらず、権力や権限への抑止といった効果もあるでしょう。
一方で、この批評が、組織内において必要量を超えて増えてしまうと、どうなるでしょう?
組織の中の「実行者への批評」が増えすぎると、組織は全体として活力を失い、やがて機能不全にさえ陥っていきます。
組織において、とにかく常に批評をする人、いや批評“しか”しない人。
とにかく組織の活力を奪うような批評ばかりを繰り返す人を、私は昔から「批評やさん」と読んでいます。
今回、この「批評やさん」がなぜ生み出されるのかを考えてみました。
case-1「問題解決に十分な力を持っていない」
批評対象の問題を自分の力で解決できれば、批評のプロセスを飛ばしていきなり実行可能です。
批評対象に対し、自分の力で十分に影響を及ぼせない人ほど、よく批評します。
という意味では、組織が大きくなるにつれ「批評やさん」が増えるのは、個々の力が細分化され、一人ひとりの役割が及ぶ範囲が小さすぎて、力や自信を失ってしまう結果から、といえるかもしれませんね。
case-2「行動に移す勇気がない≒行動のリスクが許容できない」
行動、実行にはリスクが伴ういます。
周囲との軋轢が生まれるかもしれないし、失敗すれば評価が落ちるかもしれない。
リスクを取る自信がない人は「批評やさん」になりがちで、またこのリスクを許容できない組織は、「批評やさん」を生み出しがちになります。
case-3「感情的である」
「批評やさん」は冷静で論理的に見えて、実は感情を抑制しているからこそ、不満を論理に乗せて批評するケースが少なくありません。
不満をためない機械は、決して批評はしません。
自分が共感できない、または感情を逆なでる様な事案を受け止められるだけの感情的余裕がないことの裏返しの批評、というパターンがあることを忘れてはいけません。
case-4「理想主義者である」
過度の理想主義者は、自身の理想とギャップがあると、それを指摘せずにはいられない、ある種の潔癖症です。
理想主義者の視点で見るととても耐えられない、、、、
しかし実は、自身にもその理想に導く術(すべ)も力も経験もないケースがほとんどなので、0or100論で様々な物事を排他する、存在しなかったことにするために批評をする、のパターンです。
case-5「減点主義者である」
「批評やさん」は出てきたものに対して批評をする一方、自ら何かを提案すると、それが批評の対象になる可能性があるので、あまり提案はしたがりません。
100点から始まり、減点をなるべく減らすことにより評価を得るという考え方が基本。
提案を得点と考えず、減点される可能性があるものを出してしまう、と考え、批評するだけの側に回る、ということです。
以上、こうして整理してみると、総じて、当事者としての意識や(主に実行)能力、メンタルに欠けている人。
その結果として、当事者としての“経験(場数)”がない、少ない人。
それが批評するだけの側に回る、「批評屋さん」になる、ような気がしますね。
皆さんの周りにもいらっしゃいます?「批評屋さん」。
株式会社アズワン_小林