「人間万事、塞翁が馬」
昔、ある村の塞(とりで)におじいさんが住んでいました。
ある日、そのおじいさんの飼う馬が、隣の国に逃げてしまいます。
村人たちはおじいさんに同情しましたが、おじいさんは「これが幸運となるかもしれない」と答えます。
すると何日かして、逃げた馬が、隣国から素晴らしい馬をたくさん引き連れて帰ってきました。
村人たちは口々に良かった、といいますが、今度はおじいさんは「これが不運の元になるかもしれない」といいます。
実際に、程なく、隣国からやってきた馬に乗ったおじいさんの息子が落馬して、足の骨を折る大けがを負ってしまいます。
再び村人はおじいさんに「かわいそうに」と同情しますが、再びおじいさんは「これが幸運を導くかもしれない」と返答します。
それから1年後、隣国との戦争が始まり、村の若者たちは次々と徴兵されましたが、足の骨を折っていたおじいさんの息子だけは徴兵を免れました。
不安が生じる、その根っこにあるもの。
それは、いくら考えたとしてもわかるはずがないことを、必死にわかろうとする、私たち自身の欲望です。
私達の最たる不安、それが不透明な未来に起因する、不安です。
当たり前のことを言いますが、未来は予測不可能なものです。
100%に近い確率で起こると思っていたことが実際は起こらなかったり、逆にあり得ないと思っていたことが起こったり。
どれだけ多くのデータを揃え、どれだけ時間と手間をかけて知恵を絞っても、未来を完全に予測することはできません。
まさに、人間万事、塞翁が馬。
良き未来も、不都合な未来も、です。
もちろん、既に繰り返し起こっていて、この先も何かあらかじめ起こりそうな事、類似のケースから想像できることなどは、今打てる手を打っとくべきです
けれども、今の自分では本当に何が起こるか分からない、というレベルにまで思いをいたずらに拡張させて、漠然と未来のことを心配しても、全く意味はありません。
私を含め、多くの人は、「未来にこんなことが起こったら(起こらなかったら)どうしよう?」と考え、不安になることに、多くの大切なエネルギーを使っています。
そのエネルギーの無駄遣いは、やめましょう。
体力、知力、精神力、モチベーション、、、自身が持つ生きるためのエネルギーだって、絶対に有限資源です。
考えても分からない、答えが出ない(変わらない)未来は、いっそ何も考えないということが重要です。
ごちゃごちゃと考えても、未来に対する漠然とした不安が消えることは決してありません。
今は、考えたとしてもわかるはずがないことを、必死にわかろうとする、その欲望を捨てましょう。
今、羽を休めている大切な友人へ
株式会社アズワン_小林大祐