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野村不「敷地売却制度」利用しオフィスビル開発

野村不「敷地売却制度」利用しオフィスビル開発

野村不動産(株)は、「高輪交陽ハイツ」(東京都港区、総戸数106戸)において、同社が買受人となりオフィスビルを開発すると発表しました。

このニュースで注目すべきは、本事業が2014年に改正された「マンション建替え等の円滑化に関する法律」において、マンションおよびその敷地を売却するための特例として新設された「マンション敷地売却制度」を利用した、マンション跡地でのオフィスビル建設事業であることです。

「高輪交陽ハイツ」は1980年に竣工した分譲住宅(総戸数106戸、12階建て)。

2013年に実施した耐震診断の結果、耐震強度不足が判明。設備配管の劣化等の老朽化の問題を抱えていたため、2016年に管理組合が建て替えを含む再生の検討を開始していました。

2019年に野村不動産(株)が事業協力者として参画。

建て替えやマンション用地としての敷地売却といった再生方針の検討・協議を重ねた結果、JR「高輪ゲートウェイ」駅の開業や「品川」駅周辺の再開発プロジェクト着工等を鑑み、オフィス立地として適していると判断し、、先の法律特例を用い、2019年12月にオフィス用地として敷地売却を推進することが決議されたという経緯です。


<マンション敷地売却制度とは?>

マンションの敷地を一括して買受人に売却する仕組みで、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」に基づく制度である。

マンション敷地売却制度の概要は次のとおり。

1)対象となるのは、耐震性が不足している旨の認定を特定行政庁から受けたマンション(要除去認定マンション)に限られる。

2)敷地の売却は、マンション敷地売却決議によって実施する。決議には、区分所有者、議決権および敷地利用権の持分価格の 各5分の4以上の同意が必要。

3)敷地の売却を実施する主体として、マンション敷地売却組合を設立する。

4)マンション敷地売却組合は、マンション敷地の権利を取得し、買受人(敷地の買受計画について都道府県知事等の認定を受け、敷地のディベロッパーとなる者)にその権利を売却する。また、同組合は、マンション敷地売却決議の不同意者からの敷地の買収、「分配金取得計画」に基づく区分所有者等に対する分配金の支払いなどの業務を担う。

マンション敷地売却制度による事業は、権利変換によるマンション建替え事業などと違って、建物除去後の土地利用については自由であり、敷地の売却価額は、敷地の最有効使用を想定して算定することとなる。

一方で、買受人は、代替住居の提供や斡旋の計画について都道府県知事等の認定を受けなければならないとされている。


話を戻しましょう。

マンション解体後の敷地には、同社のオフィスビルシリーズ「PMO高輪(仮称)」が建設されます。

同ビルの敷地面積約250坪に、CFT(コンクリート充填鋼管構造)造地上10階建て、延床面積約1,700坪(基準床面積約130坪)のビルに生まれ変わります。

竣工は2024年度の予定です。

現状、旧耐震基準(1981年5月31日以前の耐震基準)で建築されたマンション約103万戸(2021年末時点・国土交通省発表分譲マンション戸数)に対して、これまでのマンション建替え実績は270件(工事完了済件数※)に留まっています。

今後も、それぞれの事案の「仕掛け」と「出口」に注目ですね。

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株式会社アズワン_小林