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高齢者「住宅難民問題」(3)

高齢者「住宅難民問題」(3)

例えば、賃貸住宅の室内で自殺や他殺、事故死などが発生したとします。

当然ながら、次にそこに自分が住むのは嫌だなぁ、と嫌悪感を持つ人が一定以上います。当然の感情ですよね。

この嫌悪感の原因を「心理的瑕疵(かし:欠陥や傷などの意味)」といいます。

事故物件を建て替え・更地にしたら売却価格はどうなる?告知義務も解説します | イエコン

宅地建物取引業法では、不動産会社は契約の判断に影響を及ぼすような重要な事実を告知する義務があり、「心理的瑕疵」もこの重要な事実に含まれます。

つまりこの部屋を斡旋する際には、不動産会社=宅建業者は、この自殺や他殺、事故死の事実をお客様に説明しなければなりません。

現状では、(主に高齢者の)孤独死も心理的瑕疵に該当する、と考える人が多く、それを告知することが多くなっています。

そうなると、いわゆる“事故物件”となってしまうわけです。

事故物件となれば、次の入居者が中々決まらなかったり、家賃を下げざるを得なかったり、相応の不利益を受けることになってしまいます。

勿論、賃貸住宅の貸主(大家さん)にとっては、家賃の値下げや空室期間の長期化は百害あって一利なし。

ですから、孤独死の確率を一定携(たずさ)える高齢者の入居には、不安を感じる、消極的になってしまう、、、お断り、ということになってしまうんですよね。。。

お断りします 画像 - 無料の人気画像

高齢者の自然死は日常起こりうること。

故に自然死による孤独死は、心理的瑕疵に該当しないという考え方もあります。

国土交通省は、2020年2月に「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」を設置、2021年4月に「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」を取りまとめました。

このガイドラインの案によると、住宅における自然死については原則として告知は不要で、「死亡後に長期間放置されたことで室内外に臭気・害虫等が発生し、いわゆる特殊清掃(原状回復のために消臭・消毒や清掃)等が行われた場合」には告知を要する、とされています。

ただ現状では、心理的瑕疵の法的な基準がしっかり定まっていないし、まだまだこのガイドラインも浸透していないことから、不動産会社によって告知する内容などが異なるというのが実態です。

そもそも、一般社団法人日本少額短期保険協会の「孤独死現状レポート(https://www.shougakutanki.jp/general/info/kodokushi/news/report.pdf)」によれば孤独死の1/3は、発見までに少なくとも二週間以上経過していて、またその死因も通常の死因原因よりも“自殺”の割引が高い現状では、ここでいう特殊清掃等が必要なケースが多い。

つまりは、孤独死発生物件は、一定以上の確率で心理的瑕疵として告知義務にあたる、「事故物件」化するケースがほとんどある、とも言えます。

発見の遅滞による異臭の発生は、隣接住戸や、同館内の他の入居者への別の問題も発生するので、貸主(大家さん)がそのリスクを許容するのは結構難しいのです。

更に孤独死には別の「手間」の問題、もありまして。

長くなってしまったので、以降は次号。

株式会社アズワン_小林