(株)東京カンテイが、「定期借地権付き分譲マンション」(以下、「定借マンション」)住戸の新築・既存流通市場での価格水準についてのレポートをまとめています。
これは特定の駅徒歩15分圏内に立地する定借マンションを対象に、同駅勢圏で定借マンションの竣工前後1年間で供給された所有権分譲マンションと、新築・既存価格をそれぞれ比較し、経年による資産価値変化を検証したものです。
調査結果に拠ると、、、
2020年以降に竣工した定借マンションは、新築分譲時は周辺相場(=100)に比べて平均値76.9となっています。
既存流通時の資産評価が、所有権分譲マンションの評価水準(変動率)を上回った物件は対象となった12物件のうち9物件。
竣工からまだ間もなく借地期間もさほど消化されていないことから、 周辺の所有権分譲マンションと同等かそれ以上の評価が為されているようで、中には中古流通時の周辺相場比が新築分譲時に比べて 10 ポイント以上も上昇しているケースが認められます。
また2010年代に竣工した定借マンションの新築分譲時の周辺相場比は平均83.7。
この期間に竣工した54物件のうち、所有権マンションよりも高く評価されたのは37物件。
竣工から 10 年以上が経過した物件も含まれているので、借地期間の消化に応じてやや評価を下げている一方で、昨今の価格高騰局面においてはタワー物件や人気住宅地に立地する物件へのニーズが非常に高まっているため、それらに類する定借マンションに関しては、中古流通時の周辺相場比が新築分譲時に比べて20 ポイントや 30 ポイントを上回るケースも散見。
しかし2000年代になると、対象114物件の新築分譲時の周辺相場比は平均75.0で、対象物件のうち流通時評価が所有権マンションを上回ったのは32物件にとどまっています。
この年代に竣工したほとんどの定借マンションは、借地期間が50 年台~60 年台に設定されているので、物件によっては既に借地期間の約 1/3 を消化していることになります。
例外的なケース(シティタワー品川など)を除く大半の定借マンションは、中古マンション市場において残りの借地期間が意識されて価格が設定されている様子。
そして1990年代の竣工物件は、新築分譲時の周辺相場比は69.7と所有権マンションよりもかなり割安に設定。
流通時評価が所有権マンションを上回ったのは対象62物件のうち11物件と2割を割っています。
定借マンション史の黎明期においては販売価格が今よりもかなり割安に設定されており、やはり定借マンションが中古流通する際の価格決定プロセスにおいては残りの借地期間がかなり意識されています。
定借マンションは、一般的に周辺の所有権分譲マンションよりも 2 割~3 割ほど廉価に販売されているとも言われていますが、一方で、これまで供給されてきた定借マンションが中古マンション市場においてどのような価格水準にあるのかについてはあまり検証されていませんでした。
定借か否かより、立地と稀少性、ある時期までは。
そんなことがしっかり理解できる、さすがのレポートです。
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株式会社アズワン_小林