(株)東京商工リサーチが、「2020-2023年大都市の本社機能移転状況」の調査結果を公表しました。
これは同社の企業データベースの情報について、市郡をまたいで本社および本社機能を移転(東京都区部は区をまたいだ移転)した企業について集計・分析したものです。(2017年3月、2020年3月、2023年3月時点で比較。)
2020-2023年に本社および本社機能を移転した企業は10万5,367社(17-20年比60.5%増)。
市区群を「大都市」と「郊外」に分けてみてみると、
・「大都市→大都市」の移転が、5万1,237社(構成比48.6%)
・「大都市→郊外」の移転は、1万8,427社(構成比17.4%)
・「郊外→大都市」は1万4,103社(構成比13.3%)
という状況。
コロナ禍前の17-20年も「大都市→郊外」(1万460社)が「郊外→大都市」(9,362社)を上回っていたが、コロナ禍以降は大都市からの転出がさらに増加しています。
産業別に「大都市」の2020-2023年における企業移転を見ると、10産業すべて転出超過に。
特に建設業、不動産業、情報通信業の3産業は2017-2020年は転入超過でしたが、2020-2023年にはいずれも一転して転出超過となっています。
従業員数別で分類すると、「300人以上」が38.0%、「50人以上300人未満」が14.0%の、大都市への“転入超過”。
一方で、50人未満を潮目に、以下はいずれも“転出超過で”、「20人以上50人未満」では12.5%、「10人以上20人未満」では13.0%、「5人以上10人未満」では19.1%、「5人未満」では25.9%と、従業員数が少ないほど転出超過率が高い状況です。
ちなみに本社移転前と移転後の売上高が判明した企業の売上高推移については、コロナ禍前、コロナ禍以降ともに、転入企業の増収企業率が転出企業を上回っています。
但し、コロナ禍以降は、転入・転出どちらも増収企業率が低下し、特に転出企業では減収企業率が約6割という状況。
コロナ禍で業績が低迷した企業が多く、賃料などのランニングコスト抑制が郊外への転出要因になったため、と分析されています。
この3年のコロナ禍で、外出自粛の要請や在宅勤務、リモート会議の普及で出社の必要がなくなるなど、働き方や職場の環境が大きく変化しました。
社員が会社にいない、会社いなくても仕事が回るのに、高い賃料を払い大都会に本社を構える必要はなくなりましたが、コロナが落ち着いた最近では、弊社のお客様企業様でも、在宅勤務、リモートワークを見直す企業が増えてきたような気がします。
コロナ禍で経験した多様な働き方の継続を重視する企業と、その経験があったからこそ対面重視=社員は原則出社に回帰する企業との二極化がはっきりしてくると、今後は再び大都市への転入企業が増えてくるかもしれませんね。
株式会社アズワン_小林