■三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏
謹んで新年のお慶びを申しあげます。
昨年は、過去2年以上にわたり翻弄されてきたコロナ禍から、ポストコロナに向けて大きく舵が切られた一年でした。
ワクチンの効果やコロナウイルスの弱毒化により、水際対策の大幅緩和をはじめコロナに関する規制緩和が進み、経済活動は正常化に向かいつつあります。
経済面では、世界各国においてエネルギー価格や原材料価格の上昇など、インフレの急速な進行、各国の中央銀行の大幅利上げが実施されましたが、国内においてもコスト上昇は生じ、企業収益を圧迫、一般消費者の負担を増大させています。
昨年は、米国における大規模開発プロジェクト「50ハドソンヤード」が竣工いたしました。
今年は、「東京ミッドタウン八重洲」「ららぽーと門真・三井アウトレットパーク大阪門真」などが開業予定です。ポストコロナの街づくりにおいて、「出社したくなるオフィス」「訪れたくなる街」「五感で感動体験できるエンターテインメント施設」など、「リアル空間の価値」を追求するとともに、デジタルが適しているものに対しては徹底的にデジタル技術やデータ活用を進めてまいります。
すなわち「リアル」と「デジタル」を最適に組み合わせることで、「働く」「遊ぶ」「暮らす」といった顧客の行動ごとに、不動産をモノとしてではなくサービスとして提供する「リアルエステート・アズ・ア・サービス」を進めてまいります。
そして、世界情勢や社会構造などの変化が激しい時代だからこそ、当社グループの中に多様性を包摂し、社会のニーズや価値観の多様化に的確に応えていくことが不可欠です。
当社は、当社グループらしさや強みとなる企業文化を大切にしながら、異なる価値観やバックグラウンドを持つ人同士がそれぞれの意見や発想をぶつけあうことでお互いを高め合える職場づくりや人材育成、女性活躍を含めた「ダイバーシティ&インクルージョン」を実現してまいります。
最後に、気候変動の対応では昨年に引き続き、脱炭素社会の実現に向けてサプライチェーン全体を巻き込んだ各種施策に、これまで以上にスピード感とスケール感を持って取り組んでまいります。
皆様のこの一年のご健勝とご多幸をお祈り申しあげます。
■三菱地所(株)執行役社長 吉田淳一氏
2022年は、引き続き新型コロナウイルス感染症の流行はありながらも、外国人観光客受け入れが徐々に緩和されるなど、「ウィズ・コロナ」へのシフトが進んだ1年となった。
他方、地政学リスクや世界経済の先行き不透明感は増しており、その中で経済や人々のくらしの変化は着実に進んでいる。
こうした状況下だからこそ、中長期的な視点をもちながら、時代の変化を柔軟にチャンスに変えていける骨太の企業グループへの変革を目指し、持続可能な経営を追求していくことが一層求められている。
当社の10ヵ年計画「長期経営計画2030」も4年目と折り返し地点に差し掛かっているが、個人のクオリティオブライフ向上と社会課題の発見・解決につながるまちづくりに向けたチャレンジが現場で進み、良い流れが起きている。
直近では、常盤橋・有楽町において、地方連携をはじめ、アーティストなど多彩な人が集う多様性あふれるまちづくりが進んでいるほか、スマートシティ化の推進およびその基盤としての5Gなどのインフラ整備、DXによる体験価値向上の施策も深化している。
2023年は、脱炭素の流れが更に加速することが見込まれる。当社グループにおいても「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」「三菱地所グループのSustainableDevelopmentGoals2030」を掲げており、昨年は日本で初めてSBTネットゼロ認証を獲得した。
建物全体の再エネ電力への切替は、当社グループだけでなく、入居テナント様のRE100達成に向けてもプラスになる取り組みであり、確実に進捗させていく。
また、新事業やDXの推進を三菱地所グループ全体の横串として、よりスピード感もって取り進めていく。
時代の変化に応じてまちをマネジメントしながら、多様なステークホルダーとともに魅力的な要素を盛り込んでいき、多様な来街者・生活者に寄り添った「共感できるまちづくり」を進めていきたい。
■住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、コロナ禍における行動制限緩和が進み、観光需要の回復など経済正常化が垣間見える一年となった。
こうした状況下でコロナから如何に立ち直るか、グループの皆さんが創意工夫し、一丸となって奮闘努力した結果、第九次中計の初年度は連続最高益の達成が確実な情勢だ。
一方で、世界的なインフレや金利上昇が国内にも波及し、10年続いた超低金利環境も変化しつつある。
「一寸先は闇」を実感する昨今、グループの「総合力」を発揮し力強い成長を実現すべく、それぞれが柔軟かつ独自の発想で課題に取組み、着実な事業推進を図ってほしい。
今年も一年間、明るく元気に頑張ろう。
■東京建物(株)代表取締役社長執行役員 野村 均氏
2022年の業績も皆さんの努力のおかげで想定通り達成できる見込みであり、ここに改めて感謝申し上げる。
今年もコロナの影響は残ると思われるが、国内の行動制限や外国からの入国規制も緩和され、社会経済活動が通常の状態に戻りつつある。
ただ、地政学リスクや世界的な金利上昇、物価上昇、円安持続など、先行きに対する不透明感が強まっている。
このような状況下、当社は2030年頃を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げ、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立させることを目指している。
今年は、2024年を最終年度とする中期経営計画の後半にかかる重要な年となる。
昨年は、オフィスや住宅のマーケットが比較的良好であった。
しかし我々は単にマーケットの流れに乗っているだけでは今後の成長は難しい。
先行き不透明な状況の中でも、物事ができない理由を一つずつ潰していけば道は開け、目標は達成できると考えている。
当社は、1896年の創業以来、本社を構えている八重洲・日本橋・京橋のいわゆる「八日京(はちにちきょう)エリア」や「渋谷」などで、複数の大規模再開発事業の推進を行っている。
私たちが推進する「まちづくり」においては、まちの歴史や文化、環境と調和し、そのまちにかかわる人びとやパートナーとともに持続的な成長を目指していく「サステナブルなまちづくり」という考えを大切にしている。
こうした「サステナブルなまちづくり」に関する考えや取り組みの発信を強化するため、昨年「DOforSustainability.with東京建物」プロジェクトをスタートさせた。
当社は今後も「まちづくり」を通じて、「国際都市東京の競争力強化」をはじめ、「安全・安心な社会への貢献」、「価値共創とイノベーション」、「脱炭素社会の推進」、「循環型社会の推進」など、日本社会にさまざまな価値貢献をしていきたい。
最後に、今年も引き続き東京建物グループ各社の社員一人ひとりが、当社グループらしさ、当社グループの良さを再認識、共有化し、自身の健康にも十分留意しつつ、日々の業務に取り組んでほしい。
■東急不動産ホールディングス(株)代表取締役社長 西川弘典氏
皆様、明けましておめでとうございます。
新年を迎えたが、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする地政学上の不安定さや、為替変動やエネルギー価格の上昇等による物価高騰、日銀の政策変更等による金利の動きなど、世界経済はますます先が読みにくい状況になることが予想される。
新型コロナウイルスの感染拡大も世界的に収束時期が見通せない状況が継続しており、国内では昨年末から第8波を迎えている。世の中の動きが当社グループの事業環境にどのような影響を及ぼすのか注視が必要だ。
そのような状況下だが、足元の不動産市場は良好な状態を継続している。
コロナ禍は人々の働き方や生活スタイルの変化を加速度的に進めており、オンラインとオフラインの融合、都市と地方の在り方の変化など、場所や時間の概念が根本から変わり始めている。
その中で新しい需要をいち早く捉え、お客様満足を得た企業は成長を加速させている。
当社も「広域渋谷圏」の開発、「環境先進マンション」の展開、リゾート事業ではコロナ禍でも好調な会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ」の新規物件開発、再生可能エネルギー事業や物流施設の展開など、不動産市場のニーズを的確につかみ、事業を加速していく。
当社は長期ビジョンで「環境経営」「DX」を全社方針として掲げており、環境経営、特に再生可能エネルギー事業では2022年11月末時点で開発中も含め94事業、一般家庭の約64.8万世帯分に相当する発電能力を持つまでに成長した。
自社の発電能力を生かし、オフィスなどを再エネ電気へ切り替えるなど、「環境先進企業」を目指した取り組みを積極的に進めている。
DX分野では東急不動産の分譲マンション販売現場での「デジタルツイン」導入や、東急リバブルの「AIによるクラック画像診断技術」など新しい取り組みが生まれており、事業とデジタルをつなぐ人材「ブリッジパーソン」育成も進めている。
各分野でのDX活用を本格化していく方針だ。
私自身、コロナ禍という非常事態の今こそ大きな改革ができるチャンスと捉えている。
2023年もコロナ禍で起きた変化の本質をつかみ、未来への想像力を豊かに働かせ、当社グループの特徴でもある幅広い事業ウィングを真の強みに変えるためのグループ間連携の強化を進める。
大きく変わる事業環境を注視しながら、当社グループは全体最適な事業体制構築を目指し、チャレンジし続ける組織風土改革も進めながら、健全な危機感を持ちつつ企業価値向上を図る方針だ。
■野村不動産ホールディングス(株)代表取締役社長 グループCEO 沓掛英二氏
野村不動産グループは、2030年グループビジョン「まだ見ぬ、Life&Time Developer へ」を掲げ、昨年より新たな中長期経営計画をスタートしている。
その実現に向け、本年より、年8%の高い利益「成長」を達成することが重要である。
そのうえで、中長期のターゲットと位置付ける2031年3月期へ向けた「成長」の準備を着実に行う。
事業を取り巻く国内外の環境が大きくが変化するなかで、我々の不動産開発や不動産に関連するサービスマネジメント分野において、まだ見ぬ新たな価値創造を徹底して追求するとともに、成長分野を先見性を持って見極め、挑戦し続ける。
そして、成長著しいアセアン諸国を中心に、人口増や所得の大幅拡大により住宅・オフィス等への需要増が加速する海外におけるビジネスを、真の成長ドライバーとしていく。
株式会社アズワン_小林