(株)不動産流通研究所が、「主要不動産流通各社の2021年度仲介実績調査」の結果を発表しました。(仲介各社21社へのアンケート回答の結果です。)
回答21社中、すべての会社が仲介手数料収入を伸ばしています。
30%以上の増加が4社、20%増以上が6社となり、2ケタ増となった会社は18社。
前年度はコロナ禍による緊急事態宣言が発出され、多くの会社が店舗での営業を停止した期間があり不調に終わった会社も多かったわけですが、当期は過去最高業績となった会社も多く、コロナ禍前の19年度の仲介実績に比べても15社が手数料収入をアップさせており、不動産流通市場の急回復ぶりが鮮明に表れています。
トップは、三井不動産リアルティグループ。
手数料収入と取扱高が過去最高となり、取扱件数も過去3番目の好業績。
同社によると、首都圏のリテール、特に都心エリアの取扱件数が2ケタ増となり、事業全体を引っ張った結果のようです。
リテールの取扱平均単価はコロナ前の19年度と比較しても全国ベースで15%上昇しており、取引件数の増加が手数料収入の増加に直結する状況です。
東急リバブル(株)は、リテール・ホールセール共に好調に推移し、過去最高業績を記録して、初めて手数料収入額が2番目。
住友不動産販売(株)も既存マンション取引を中心に取扱件数が過去最高を更新。
野村不動産ソリューションズ(株)も過去最高業績を記録しています。
各社からのコメントでは、20年度に比べてコロナ禍の影響が限定的で、リテール・ホールセールともに好調とのこと。
リテール(小口取引)は、
「買いの反響は昨年よりも旺盛で、在庫がさばけていく一年。」
「買いニーズの高さがエンドユーザー・事業者ともに継続した結果、成約単価もアップした。」
「外出自粛や在宅勤務の普及で住宅購入ニーズが高まり、低金利政策も相まって順調に推移した。」
といった“買いの強さ”を示すコメントが多数。
ホールセール(大口取引)でも、
「不動産投資需要自体が堅調な中で、JREITの資産入れ替えなど大型物件の成約が進んでいる。」
「信託受益権の取り扱いは増加したが、現物不動産は減少した。」
といった声が聞かれています。
一方各社が共通して訴えるのは売り物件の不足。
市場全体としては売却物件が少なくマッチングが難しいく、結果市場に出回る売り物件が少ない状況が続き、物件価格が上昇しているようで、売却受託時の競争が激化しています。
ただ、直近は若干潮目が変わりつつあることを感じさせる動きもあります。
先の三井不動産リアルティグループでは、年明けごろから売りの情報量が増加に転じ、買いの情報量がやや減り始めているといいます。
一部には価格高騰に消費者が付いていけなくなり、若干の減速感を感じるという声もあり、新築マンションの価格高騰が続く現状、当面は既存流通価格も高水準で維持していくと言われていますが、各社は価格の調整局面入りを慎重に注視しているようです。
(株)アズワン_小林